【放射線性腸炎】
放射線を浴びたために腸に起こる炎症です。癌(直腸癌や子宮ガン)に対するの治療のために照射した放射線によって起こるのがほとんどでしょう。
放射線をかけてすぐ起こるものと、何年(何十年)もたって起こるものとがあります。
放射線照射のあと、すぐに起こるものは、少したてば、一度は、軽くなります。
しかし、何年か経過してからおこってくるものは、正直、治りが悪いですね。治療法がない、といったほうが適切かもしれませんね。
それでもまったく治療法がないわけではなく、放射線性直腸炎の出血によるものは、ホルマリンで固定治療したり、アルゴンレーザーで止血したり、そのほか、いろいろな対症療法をしたりして、その都度その都度、工夫して治療をしていくことになります。
特効薬的な治療法のない病気には、性格の粘り強い医者が向いていると思います。けしてあきらめずに、けして、決め球ではなくても手を変え品を変え、変わりだまを投げられる投手のような医者が、最終的に患者を救うことになるのではないでしょうか。
放射線治療というものは、治療しているときは、手術より体に優しい治療のように思えますが、病気が治ってから、何年、何十年もたって起こってくる放射線性腸炎は、厳しいですね。そのときには、当然のことですが、治療に当たった放射線科医はすでにリタイアしていることが多いですし、まだ、現役だとしても、腸炎の治療を求めて患者は、消化器専門医のところにやってくるのですから、消化器病医としては、つらいところです。〔患者さんのほうがつらいよ!!!そのとおり!〕
註:現在の放射線療法は、かつての放射線照射よりコンピュータ管理で厳密に照射野が決められるようになっていますので、当然、昔より、副作用は少ないはずです。
【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】