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  ここは「大腸・肛門、そして骨盤底の疾患」に特化した、ウェブ情報サイトです。大学病院でのスモールレクチャーに基づいて作られました。
  スモールレクチャーとは、学生や研修医に対してベッドサイドやカンファレンス室で行われる、臨床に即した小規模の講義で、自由な雰囲気で行われるものです。

大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル38


【肛門管の話を続けましょう】

肛門管の話を続けましょう。この辺の話になると、医者の何%ぐらいが知っているのかなぁ、と思ってしまうぐらい、知らない医者にとっては「マニアックだ」といわれかねない知識ですね。肛門科を掲げている医者でも、どのくらいの医者が、どのくらいに、認識しているのかなぁ。

肛門管は肛門の狭くなっている管の部分です。内圧を測定すれば、当然高くなっているので、肛門生理学的には昇圧帯とも言うこともあります。(ここまでは、当たり前の話で、医学を勉強していなくても、考えてみれば、常識で想像がつく世界ですよね。)

肛門管の圧を連続的に測定していると、圧は、高くなったり、低くなったり、の、サインカーブを描くのですね。つまり、肛門管は、自律的に収縮をしているということなのですね。これは、無意識に、です。お尻に意識を集中しても、気づきません。

でも、これも想像すれば、そんなものかなと、理解できますね。というのは、肛門管の内括約筋は、大腸の固有筋層とつながっていて、腸の自律運動から、なんとなく想像できるではありませんか。

肛門管の圧を測定していると、特に血圧の高い人は、肛門の中で、痔動脈の拍動を、つまり、痔の血圧をモニターできるのですね。痔のケツアツ、なんて、親父ギャグみたいになってしまいますが、親父ギャグって悲しいですね。しかし、肛門管の律動波形は、動脈の拍動とはまったく別で、肛門管自体の収縮なのです。いまは、その話をしているのですよ。

世界には、いろいろと不思議な方がいるもので、肛門管の律動波形を肛門管の奥と手前で測定し、その周波数に、ずれがあることを発見している医者がいるのですね。肛門管の律動波形の周波数は、肛門管の奥のほうが手前よりも周波数が高いのです。

そのような事実がわかったら、次におこなうのは、その生物学的な意味づけですね。その意味付けは、こんな風に考えられました。

直腸にたまったものを肛門管が開いたり収縮したりすることで、肛門管の上部の粘膜に触れさせ、肛門管の上部の粘膜という最も知覚に関係する部位で、直腸にたまったものが何であるかをしらせるのだ。というのです。このために、肛門管の律動波形は重要であるし、周波数の異なりも役に立つというのですね。本当かなぁと思う一方で、確かに、合理的な説明だなぁという気もしますね。これをサンプリング現象といいます。

また、このサンプリング現象は、直腸にものがたまると、少し、肛門が緩んで、また、元に戻るという、直腸肛門抑制反射も役に立っているのだと説明付けられています。こ直腸肛門抑制反射は、小児外科で扱うことの多い先天性の病気、ヒルシュスプルング病、の診断で発達した検査ですが、しかし、それはまた、けして子供だけの病気ではないのですが、また、別の機会に、お話します。

【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】


  大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャルの目次
001 このフェブサイトについて
002  なぜ、大腸・肛門・骨盤底の疾患に特化したホームページを作ろうとしたのか?
003  大腸ポリーがありますよ、といわれたら
004  大腸がんの話
005  22歳女性の肛門癌
006  大腸癌の危険率、そして、検診の確認の甘い罠
007  直腸カルチノイド
008  直腸カルチノイドの怪
009  潰瘍性大腸炎と大腸癌
009-2  潰瘍性大腸炎に大腸がんができやすいの?本当なの?
 010  クローン病
 010-2  大腸クローン病
 011  虚血性腸炎
 011-1  虚血性腸炎
 012  薬剤性腸炎=出血性腸炎
 013  抗生物質による偽膜性腸炎
 014   しばらく、感染性腸炎の話をします。
 015  O157腸炎 (O157大腸炎)
 016 トラベラーズ腸炎
 017  ノロウイルス腸炎
 017-2  胃は吐くために進化した臓器である
 018  MRSA腸炎
 019  骨盤炎 ダグラス窩膿瘍
 020  放射線性腸炎
 021  恐るべし、放射線治療後の膀胱
 022  閉塞性大腸炎
 023  腸閉塞と例え話あるいは、例え話の閉塞状況
 024  急性虫垂炎の24歳の女性
025   シマウマのような12歳の少女の虫垂炎
 026  卵巣がんのダグラス氏窩転移
 027  過敏性大腸症
 028  偽性腸閉塞症
 029  慢性便秘
 029-2 便秘ですか
 029-3
 大腸は便秘するためにある。
 030  巨大結腸症とS状結腸過長症
 031  肛門病スペシャル
 032
 肛門病スペシャルの名にふさわしい、ザ裂肛
 033  内痔核 その対称性の乱れ
 034  痔と直腸癌
 035  内痔核の話を続けましょう。
 036  痔と直腸癌 痔という病気
 037
 直腸異物
 038  肛門管の話を続けましょう
 039  内痔核の分類  Goligher分類
 040  骨盤底筋群ということばが好きな理由
 041  陰部神経のドグマ
 042  陰部神経の新しい検査法の開発には理由がある
 043  陰部神経潜時測定で何がわかったのか
 044  肛門を評価する(1)マノメトリーという准基本検査の罠
 045 肛門を評価する(2)デフェコグラフィー
 Defecography 排便造影)について
 046 肛門の“8の字ダンス”
 047  ポリープをとってほしかった
 048  大腸ポリープに対する切除法 blood patch EMRという方法
 049
 別稿 大腸ポリープに対する安全な新しいポリペクトミー(EMR)の方法
 050  診療の秘訣 ブラッドパッチEMR
 051 打撃フォームを変えるにも等しいこと
 052  欠番
 053  消化器外科医の実力
 054  新聞や雑誌に載る「病院の実力」の意味するもの
 055  セカンドオピニオン ブルース
 056 セカンドオピニオン 異聞
 057  不信感という時代のキーワード
 058  そう説明してくれればわかります
 059  セカンドオピニオン異聞 裏の裏
 060  文系のための医学誌
 061  包茎は手術するべきか、受けるべきか。わたしの裏技手術
 062  太ることと大腸癌
 063 さいたま新開橋クリニック
 064   直腸癌は疫学的に異なるカテゴリーに属する
 065  大腸癌の原因は肉食???本当に本当なの?
 066  盲腸ポート
 067  最善を尽くしましょうと請け負っていた外科医が
 068  病気が顔を変える