【クローン病】
クローン病は、大腸に限らず、口から、肛門までの、消化管のすべてを冒しうる、病気です。この点が潰瘍性大腸炎と違いますね。潰瘍性大腸炎は大腸だけに発生するのでしたね。
また、腸の壁を全層性に冒す病気です。全層性とは、壁全部ということですが、血管や脂肪がある間膜側に病変がよっているため、穴が開いてしまうことは、結果として、少ないのですね。ちなみに、潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜だけの深さですよ。これも相違点ですね。
クローン病が大腸に発生すると、潰瘍性大腸炎なのか大腸クローンなのか、鑑別診断が難しくなるのですね。
道草になりますが、(「鑑別診断」とは、二つ以上の診断名を考えてそのどちらかかを検討して診断することでしたね。この鑑別診断、つまり、候補となる疾患を列挙してそのどれに当てはまるかを考えるという、施行プロセスは、真理を追究しようつる科学的な思考法とは、かなり、精神土壌的に異なりますね。わたしは、学生時代、この考え方に、なかなか、なじめませんでした。なぜ、最初から、施行範囲を限定して、物事を考えるのだろうと、なじめなかったのです。
この思考法では、新しい発見は出来ませんよね。
しかし、臨床医としては、この施行プロセスはとても大事なのです。患者さんを診察して治す場合、世界初の疾患の発見となるかもしれないことを考えて診察するより、確率的にずっと高い可能性の疾患ではないかと考えて診察を進めていくほうが、合理的で、誤診もないのですね。これは、ひずめの音を聞いてシマウマを思うことを戒めるのと同じです。別の項で説明しますね。)
クローン病は10歳代の若者によくみられます。小腸の末端(回腸末端)に良くおこりますが、消化管のどこにもおこり得て、非連続性(飛び飛びに)発生します。
原因は良くわかっていません。
最後に、クローン人間のクローンとは関係ありませんよ。クローン先生の名前からとられただけのネイミングです。
【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】